こんにちは、藤吉クリニック副院長の藤吉健司です。今回は、「便秘の食事療法」についてお話します。コロナ禍の自粛生活で、皆さん運動不足や食生活が偏りがちになっていませんか。このような生活習慣は胃腸の不調や便秘が生じやすくなります。
「便秘」とは、数日以上排便がなく、排便と排便の間隔が不規則になった状態です。便秘が長く続くと、ストレスが溜り、頭痛・肩こり等も生じ、日常生活に支障をきたしかねません。排便の状態は健康のバロメーターです。食事と日常の工夫で便秘を予防・改善しましょう。
<便秘解消の食事のポイント>
1.繊維食品(ホウレン草、小松菜、春菊、オクラ、つるむらさき、納豆等)を多めに摂りましょう
繊維の多い食品は、腸内で吸収されずにカスとなって大便の量を増やすので効果的です。
2.朝早く冷たい牛乳を飲みましょう
冷たい牛乳を朝起きぬけに飲むと、便秘をしているときは即効薬の役目をします。
さらに、スープ・ジュース・炭酸水等も腸の運動を助けます。
3.起きぬけに1杯の水を飲みましょう
便秘には適当量の水分が必要で、特に冷たい水の刺激は腸の動きを活発にします。胃腸が弱い方や冷えが気になる方は、冷たい水より刺激が少ない白湯を飲む方がよい場合もあります。1日に1.5Lを目安に、コップ半分~1杯をこまめに分けて飲むようにしましょう。
4.適度な脂肪食品をとりましょう
意外かもしれませんが、脂肪は腸の動きの潤滑剤的な働きをします。
特にゴマは脂肪が多いので、ホウレン草・春菊等をごま和えにして食べましょう。それにクルミを足しても良いですね。
5.甘いお菓子はほどほどに
6.食後に果物を摂りましょう
<便秘解消のための食品のえらび方> スーパーマーケットで食品を手に取るときに、役立てていただけたらと思います。
・野菜(オクラ、つるむらさき、たけのこ、ごぼう、蓮根、さつま芋、人参、フキ、こんにゃく):繊維を多く含み、ビタミン・ミネラルの給源として、たくさん摂りたい食品です。胃腸の弱い人は柔らかく調理して下さい。
・豆・豆製品(小豆、大豆、いんげん、うの花、おから、納豆、高野豆腐):煮豆やうの花は繊維が多いので、排便作用を促します。
・海藻類(わかめ、ひじき、昆布、海苔、ところてん、もずく):特に、ところ天は多くの水を引く作用があるので効果的です。
・脂質(オリーブオイル、ごま、クルミ、バター、クリーム、天ぷら、フライ):マヨネーズ・酢・ソースを使った野菜サラダや野菜天ぷら等が効果的です。
・穀類(麦ごはん、玄米、雑穀米、オートミール、コーンフレーク、ライ麦パン、そば):不消化にならない程度にメニューに組み入れます。
・果物(りんご、みかん、スイカ、バナナ、蜂蜜、ジャム、マーマレード):完熟した果物は、腸に直接刺激を与え便通を促進します。
・魚・肉(うなぎ、さんま等脂肪の多い食品):魚・肉は便通と関係は少ないですが、良質の蛋白質として摂りましょう。
・発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ):腸内環境を整え、良い腸内細菌を増やします。さらに、食物繊維やオリゴ糖(バナナ、きな粉、蜂蜜、とうもろこし、アスパラ、玉ねぎ等)を摂ることで、腸内細菌の栄養源になります。
皆さんは「食物繊維」には、種類があることをご存じでしょうか。食物繊維は2種類あり、両方をバランスよくとる必要があります。
・水溶性食物繊維
腸の中で水に溶けゼリー状になり、便を柔らかくしてくれます。「ねばねば」と「さらさら」しているものがあります。
(例)海藻、納豆、オクラ、果物、里芋、大麦
・不溶性食物繊維
水に溶けず腸の中で水分を吸収してふくらみ、便の量を増やし、腸の運動を活発にします。
(例)穀類、根菜、いも、豆類、きのこ類
最後に、<便秘解消のための日常生活の工夫>をご紹介しましょう。
1.排便習慣を作りましょう
毎日、一定の時刻に便意のあるなしにかかわらず、トイレに行き便座に座り便通があるよう努力し、排便習慣を作りましょう。
2.排便しやすい姿勢をとりましょう
排便時に太ももと上半身の角度が、35度くらいになるように上半身を前かがみにすると、直腸から肛門にかけてまっすぐに近い形になり、便が下がりやすくなって、排便しやすくなります。かかとを少しあげたり、踏み台を使ったりすることも効果的です。ロダン「考える人」のポーズのイメージです。
3.運動で腸の機能を活発に
腹筋運動は、直接に腸の運動を促進させます。
4.ストレスに気をつけましょう
精神的ストレスは、緊張性の便秘を誘発します。ゆとりのある生活を心がけましょう。
5.下剤の習慣化に気をつけましょう
便秘は、日常生活や食事の注意だけでコントロールするのが理想です。しかし、やむを得ず下剤を使う場合は、排便の習慣がついたら、なるべく早く薬剤を中止し、食事や生活面の工夫で便通がつくよう努力しましょう。
<まとめ>
食事や日常生活の工夫で、便秘は予防したり改善したりすることが可能です。ご自身で取り組みやすいところから、生活に取り入れてみてくださいね!
当院では便秘外来も行っております。便秘のことでお困りのことがございましたら、お気軽に当院へご相談くださいね。
<今日のレシピ>
~便秘解消ネバネバ丼~
ネバネバしているものは、食物繊維が豊富で便秘に効くものが多いです。自分の好きな組み合わせで、オリジナルの丼を作ってみましょう。
忙しい朝や、家で自分一人で食べるランチにも手軽でおすすめですよ!
【材料】
・丼の土台となるもの(玄米や、オートミール、お蕎麦がよいですね)
・ネバネバしているもの(納豆、オクラ、ツルムラサキのお浸し、山芋すりおろし)
【作り方】
1.丼ぶりに玄米を1人前よそう
2.冷蔵庫の中にあるネバネバしている食材を乗せる
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